支援する人材・技術・機器・環境の創出と情報提供
トップページへ
お知らせ 福祉機器開発・製造・販売 児童デイサービス・知的障害者介護サービス
カトレアサービスとは
 
アーチきくい
アーチしばた児童心身発達センター 福祉機器開発・製造・販売 児童デイサービス・知的障害者介護サービス カトレアサービスとは
児童デイサービス・知的障害者介護サービス


アーチ研修報告

Vol.30 2015年2月15日発行

第3回食べる力を育てる 研修会
…おいしい食事、楽しい食事、安全な食事のために…

日時:平成27年1月10日(土)・11日(日)
講師:野村春文(埼玉県立熊谷特別支援学校教頭・静的弛緩誘導法研究会代表・摂食指導臨床研究会〈もぐもぐクラブ〉 講師) 石黒光(前愛知県心身障害者コロニー中央病院歯科部長 歯学博士) 玄景華(朝日大学教授 歯学博士 付属病院障害者歯科診療科長) 丹羽陽一(特定非営利活動法人ひろがり 代表理事 「ふれあい体操」著者)
参加者:平松

アーチ研修報告「食べる力を育てる 研修会」に2日間参加しました。講義と実技で充実した内容で学ぶことの多い研修会でした。参加者は特別支援学校、支援学級の先生や保護者の方が多く、研修内容は医学的な知見を踏まえつつ、子育て、教育的な視点から「障がい児の口腔の特徴と衛生」「重症児への摂食指導の考え方」等を中心に学びました。

この研修でとても多く取り入れられていたのは「静的弛緩誘導法」という考え方です。障がい児、重症児(以下 子ども)は誤嚥と窒息と隣り合わせで生きている方が多くいる ことを改めて感じました。だ液を飲み込むこと、呼吸をすること も誤嚥や窒息へとつながるのです。しかし、そういった状態にし ないことがもちろん重要です。そのための取り組み(準備体操) が「静的弛緩誘導法」だとこの研修を通して感じました。

静的弛緩誘導法とは、身体を16のブロックにわけ、「ここを触ると身体はこう動く」ということが体系化されています。胸を触ることで呼吸を楽にしたり、顎と唇を触ることで食べ物を口の中に入れやすくしたりします。言葉だけ聞くと難しく感じましたが、 実際は大人が子どもの胸を(触る場所は身体のしくみ、骨や筋肉のしくみをきちんと勉強しないといけないと思いますが…)「◯◯ちゃん、胸だよ―。ふわぁ〜」といって触ります。子どもはリラックスすると同時にここが胸だと学びます。そして深い呼吸をします。触れられることで、そこを意識して使うようになるそうです。

口唇も同じです。日常、口を閉じきれない子は食事の際も上手く口を閉じることができません。口を閉じることができないと上手く噛み切ること、飲みこむことができず誤嚥や窒息につながることがあるかもしれません。「口唇を閉じること」も練習していけば(伝えていけば)できるようになります。 また、舌についての勉強もしました。ダウン症候群のお子さんで寝てい る時にいびきをかくことがあれば、それは「舌根沈下」という状態になって いるそうです。 筋肉が弱いため仰向きで寝ていると舌がのどに奥に落ち込んで気道が狭くなってしまっている可能性があります。苦しい顔をして寝ていることがあれば横向きに寝かせてあげて下さい。

講義の後は実際にペアになり、静的弛緩誘導法を行って、ヨーグルトを食べてもらう(食べさせる)練習(口唇に手を添え唇のとじ方を伝える)をしました。水分の介助をする際、スプーンは横使い(下唇を支える面を増やす、コップの練習になる)、水分はスピードがあるので誤嚥しやすいのです。1口の量をスプーンで 決めて、安全に介助します。スプーンは傾けず、並行に支えます。本人の呼吸にあわせて水分が自然に口の中に入っていきます。ストローでの介助をする際はストローが歯の前にある事を確認します。口の中にはいってしまってはダメです。

アーチ研修報告昼食時には、実際に各日2組の親子がモデルとなり、障がいのあるお子さんの食事方法を見せて下さいました。それぞれ食形態、食事介助の方法も違い勉強になりました。平スプーンは下唇でスプーンを支え、上唇で食べ物をすくう(とりこむ)練習になるので、利用している方が多いそうです。

午後は障がい児の口腔の特徴と歯磨きについて学びました。口腔機能とは@呼吸A食べることB話すこと(コミュニケーション)C道具D感情の表出E感覚だそうです。 また障害特性での歯科のお話では、知的な遅れがあり、日常生活に支援が必要な方は歯磨き不良によるむし歯や歯肉炎等が羅患しやすいので歯磨きの介助、支援が大切とのこと。またダウン症児はむし歯は比較的少ないが、歯茎の疾患にかかりやすい…等それぞれの特徴があげられるそうです。ただ、「どんな方にも共通してかかりつけ歯科での定期健診をおすすめします(障がいのある方は是非かかりつけ歯科を持っていただきたい)。」とおっしゃってみえました。

アーチ研修報告歯磨きと口腔ケアは講義、実技で行われました。年齢や過敏 さに合わせてブラシを選び歯磨きが苦手なものにならないよう にしていくことが大切だと学びました。そのために『毎日完璧 な歯磨き』を求めず「今日は下の歯」「今日は上の歯」と『毎日 継続』を大切にしたいと感じました。講師の先生もそれで良い とおっしゃってみえました。保護者の方には定期的な歯科検診 も進めてほしいとのことです(虫歯ができたから歯科へ行くの ではなく予防をすることを心がけるとよい!!)。

2日目はグループワークからスタートしました。インシデント・プロセス法を用いて事例研究を行いました。インシデント・プロセス法は「問題解決技法」です。事例としての簡単な出来事を研修者は提示され、それに対して提示者に情報収集を行います。そしてまず個人で問題点、その解決策を考えその後グループで討論し、問題点や解決策を話し合っていきます。事例の児童の主訴「食事の際に痰がからむ。もっと楽に食事がしたい」に対し各グループいろいろな意見や知識がでました。どのような研修会でもこのようにグループワークは自分の考え方への見直し振り返りができるとともに、まだまだ知らないことが たくさんあると思い知らされます。

アーチ研修報告午後は障害の重い方(食事中のてんかん発作、胃瘻や経管栄養、気管切開)についても学びました。誤嚥を防ぐために、食物形態や性状、1回の食事量、好き嫌いの把握[やはり嫌いなもの(味)は口の動きが悪く滞留し誤嚥しやすい]をすること。嚥下のリズムをつかむこと、日常の様子(疲れていると誤嚥しやすい)、リラックスできる環境、安心できる介助者が必要であると感じました。

舌についても学びました。人は空気をとりこんで生きていくた め「口」はとても大切です。その「口」の主役が『舌』です。 舌は使えば使うほど筋力(舌筋)が強くなります。舌の使い方も 静的弛緩誘導法で実際に体験しました。

2日間の研修を通して、「食べる」という1日3回行うことが、 多くの機能を使い、からだをつかい、筋肉をつかい行っていると いう奥深さを感じました。「食べる」ということは障がいの重い方 にとっては重労働で、筋肉が上手く使えない方には非常に疲れることだということがわかりました。食事介助をしていて、動きが遅くなり、もういらないのかなぁと思うことがあります。食べる意欲がないのではなく疲れているのかもという視線を持って支援していくことも大切です。また今回の研修で学んだ「静的弛緩誘導法」を今後どのように支援に活かしていけるか、活用できるのかを考えていきます。(平松智子)

障害のある子どもの性について 〜幼児期から思春期まで〜

日時:2015年1月21日(水)
講師:伊藤 修毅さん(日本福祉大学子ども発達学部心理臨床学科障害児心理専修 “人間と性”教育研究協議会 障害児・者サークル代表)
主催:発達センターあつた

参加者:山田、小澤、平松、安井

アーチ研修報告今回の研修では幼児期から思春期までの性について学んできました。

はじめに障害者の権利に関する条約の話をしてくださいました。権利条約の23条では、障害者の結婚、家族形成の権利が認められ、障害者にも性教育を受けることが出来る権利も認められました。

「性教育」を受ける権利があるということ、つまり障害者支援に携わる人々には性教育を保証する責任がある、と伊藤さんはおっしゃっていました。

☆障害のある方々の性教育の基本として☆

・性に関してあまり興味のない子にも、性に興味を待つ前からちゃんとした性教育を!!
・ダメダメはダメ!! (ダメと抑圧してしまうとある機会をきっかけに溜め込んでいたものが爆発してしまうこともある。またダメと禁止された人には性に関して相談できなくなってしまう)
・「問題行動」を発達要求、性教育の要求ととらえる!!

アーチ研修報告まずは、「大人が自分で自分自身の性教育をする必要がある」と伊藤 さんはおっしゃっていました。わたしたち大人も学校で性教育をしっか りと受けた経験がありません。正しい性への認識を身につけた上で子どもたちに伝えていく必要があります。

性教育の基本である「ダメダメはダメ!!」ということを 聞いて、確かに禁止されるばかりでは心の中に溜めこんでしま うだけだなぁと感じました。性教育にかぎらず、やりたいこと を禁止されるばかりではストレスが溜まってしまいます。

また、「自分の体を触る権利は誰にも邪魔されてはいけない」 という言葉を聞いて確かにその通りだと感じました。 ダメダメと禁止してしまうのではなく「ここでは触らないけど、 あっちの場所(トイレ等)ならいいよ」と自分の体を触れる場 所を伝えていくことがとても大切なのだと改めて感じました。

性の発達には「からだの理解」、「性行動の選択」、「性と人 間関係」、「性的人権の尊重」の4つの柱があります。この4 つの柱をもとに乳児期から青年期まで発達していきます。

乳児期には……
性への偏見を植え付けずに、肯定的な見方を獲得する必要があります。 自分のからだを知ること、気持ちいい触れ合いを経験しておくこと、自分が大切という自己肯定感をもつことが大切です。

低学年には……
いのちと自己肯定感を育むことが大切です。 男の子、女の子の体の違いを知ること(女の子は自分の性器を見る機会がないので二次性徴の前に手鏡を使って見る機会を作ることも必要とおっしゃっていました)、身だしなみを気にすること、心地よい距離感を知ることが大切です。(心地よいを知ることで不快を知ることができます)

高学年には……
ジェンダーバイ アスの刷り込みの問題提起 二次性徴が始まる前から自分の からだが変わっていくことを教え ることが大切になってきます。「夢精があったらこうするんだ!!」、 「初経があったらこうするんだ! !」という対応の仕方を知ること が大切です。

あらかじめ自分のからだが変化することを予期させておくことで、自分のからだの変化についていけなくて荒れる、という幅が少しは変わってくるのではないかとのことでした。

今回の研修では性の発達も「積み重ね」だということを学びました。思春期になって性的問題行動があった時にその行動だけに注目してしまうのではなく、乳幼児期・学齢期にどこが学べていなかったのかを検討して学び直す必要があるということ。性的な問題行動が起きてから何とかしようとするのではなく、子どものうちから一緒に学んで行くことが必要だと感じました。(安井由香)

アーチ研修報告


上へ戻る
名古屋市西区菊井1-10-10